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転倒について
今回は転倒について、原因の1つを知って頂き、その対策を紹介したいと思います。
転倒は65歳以上の3人に1人が、1年間に1度以上経験すると報告があり、要介護状態(寝たきりも含む)になる原因の4位となっております。
転倒の原因には身体的要因や環境的要因などがありますが、その中でもあまり聞きなれない『身体能力イメージ』について、歩行を例に述べていきます。
身体能力イメージとは、自分自身の身体活動や身体能力などの特性を想像することです。例えば10m先まで歩く場合の歩数や時間などを、実際に歩く前に想像(イメージ)することです。
転倒しやすい方は、歩数を少なく(歩幅を大きく歩けるように)想像したり、歩行にかかる時間を少なく(速く歩けるように)想像する傾向があるようです。イメージの中では身体能力を過大に捉えがちとなり、身体能力イメージの正確性が低下しているといえます。
対策として、「何かをしながら、何かをする」といった2つのことを同時に行うことが大事といわれています。これを二重課題といい、なかでも運動と脳活動を同時に行うことが重要です。例えば、歩きながら野菜や果物の名前を思い出して口に出す。歩きながら「100」から「7」を引き続ける(93,86,79・・・)。踵上げをしながら国の名前を思い出して口に出す。会話しながら歩く。・・・などといったように運動と脳活動を同時に行うことです。その他には一定の距離を歩く前に、時間や歩数をイメージしてから歩いてみることも効果的だと考えます。
皆さんも二重課題やイメージを用いて、転倒対策してみてはいかがでしょうか。ただし無理のない範囲で、体調に合わせて行いましょう。
【執筆者】
リハビリテーション科 理学療法士 久保 稔